人間には、生きていくうえで悩みがつきものです。
どんなにお金を持っていても、ビジネスで成功していても、恋人がいても、家族がいても、まったく悩みがない人はいないのではないでしょうか。
そんな悩みを、脳科学者の中野信子先生が分かりやすく解説してくれます。
悩みと上手につきあう 脳科学の本
著者:中野信子 / 出版社:プレジデント社 / 発行日:2020-6-17
内容紹介:
人はなぜ、悩むのか?
なにも悩まずに生きている人は、この世にいません。
悩みがあるとき、ない状態とどちらがいいでしょうか?
人間関係、恋愛、お金、健康・・・・・・。
日々生きているだけで、人はいつの間にかいろいろ悩みにとらわれています。
そんな人生における悩みを解消するための具体的な方法を紹介しています
著者:中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者・医学博士・認知科学者。1975年、東京都に生まれる。
東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。
フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。
レギュラー番組として、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週金曜コメンテーター)、『英雄たちの選択』(NHKBSプレミア)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)。著書には、『サイコパス』、『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『空気を読む脳』(講談社)、「超」勉強力』(プレジデント社)などがある。
悩み多き者は、豊かな人生を歩むことができる
人間は「生きる意味」をわざわざ考え、悩み、苦しみながら生きる宿命にあります。見方を変えれば、あなたが抱く悩みの一つひとつは、人類だけに与えられた特権的な能力によるものだといえるのです。
引用:本書カバー内容紹介より
あなたは、どんなことで悩んでいますか?
私の人生にもさまざまな悩みがあります。
「どうしてこんなに苦しいのだろう?」と常に思っています。
例えば、「この先、仕事が今までと同じようにあるだろうか。」
「老後を生活するのにお金が足りるのだろうか。」など。
小さな悩みから、少し大きな悩みまで、いろいろあります。
先が見えづらい将来に対し、不安で堪らないのも一つです。
「お金持ってる人は、悩まなくていいなぁ」なんてことを悩んだり、思ったりします。
実際にはお金持ちの方も、いろいろ悩んだりするというのは、当然理解しています。
浅はかな気持ち(考え)ですが、そう思ってしまうのです。
本書では、年収と幸福感の研究について次のように紹介しています。
お金があればあるだけでいいし、少なくとも邪魔にはならないと考えがちです。しかし、ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマン教授が行った、お金の多寡と日々の幸福感を測る有名な研究によると、年収で7万5000ドル(当時の相場では約630万円)以上を稼ぐと、それまで年収アップに比例して増えていた幸福感が、頭打ちになっていく傾向が明らかになりました。
引用:本文P.151
お金がおればあるほど、幸福感が増えると感じることはない。
それを証明する研究結果です。
それなら、私はもっともっと幸せを感じてもいいはずです。
でも実際は、お金のことに限らず、家族のこと、家のローンなどいろいろ悩んだりします。
悩みは多く、とても幸せな、豊かな人生を歩んでいるとは思えないのです。
これは、どういうことでしょうか。
心配していることの8割以上で、現実的にはむしろいいことが起きている。
「まだ見ぬ不安」というものは、まだ見えないだけに、必要以上に悪く考えてしまう傾向が人間の脳にある。
これは、将来に対して悩みがちな人に、ぜひ覚えてほしい事実です。
"人間関係やお金などが充実していれば、幸せを感じて生きられるかもしれません。ただ、裏を返せば、これらの要素を気にしている時点で、そららに依存しているともいえないでしょうか?"
引用:本文P.180
人は、何かに依存することで安心してしまう。
それは、お金でも仕事でも同じだと思います。
収入が増えたとき、仕事がうまくいっているときは、このままでいいと安心します。
その反面、仕事で何か功績を残したい、もっとお金を稼ぐようになりたいって思ってる自分もいたりします。
では、収入が多い、少ないとは何と比べて、判断しているのでしょうか?
友達でしょうか?それとも同僚でしょうか?
一般論としてニュースで発表される初任給ランキングのようなものとでしょうか?
自分自身を丁寧にあつかう
お金を持っていても幸せになれると限らない理由のひとつは、脳には金額そのものより、むしろ「他人との差」に鋭く反応する性質があるからです。
本文:P.153
比べる基準がなければ、自分の思考、価値観だけが判断基準です。
お金は物を買うだけの対価だけでなく、人を助けられる側面ももっています。
たとえば、寄付、募金。
あなたは、どれくらい、募金していますか?
寄付や募金は強制ではありません。
あくまで、ひとつの使い方なだけです。
私は毎月、募金が自動引き落としされるようにしています。
以前は、コンビニの募金箱に入れていましたが、金額が多い月と少ない月がでることに気づきました。
ときには、忘れてしまうこともありました。
もっとお金をきちんと使いたいと思うようになり、毎月一定額が引き落としされて、募金となるようにしています。
募金したことで自己満足という気持ちになることはないのですが、少しでも誰かの助けになればという想いは常にあります。
お金にはどんな価値があって、お金があると自分にはなにができるのか。それについて、一人ひとりがもっと考えを深められたらいいと思います。
引用:本文P.157
決してお金に依存せず、他人と比較をしない。
お金とは何か?
どんな価値があるのか?
どのように使えば、自分の心が満たされるのか?
しっかりと考えていきたいです。
”将来に悩んでいる最中は、未来に成長している自分をうまく想像できません。だから、やっぱり不安になってしまう。でも、何歳になっても人生を楽しんで生きたいなら、そのときどきで、自分の評価軸を変えていくことが必要です。ある時点の固定化された評価軸で将来を悩むのではなく、「いま」を考えて、柔軟に生きていく。”
引用:本文P.185
まとめ
見えない不安に悩むよりも、今の自分を見つめましょう。
新たなことにチャレンジし、新しい経験(体験)することで、心がワクワクして満たされるような人生を楽しみましょう。
もっと早くたどり着きたかった。もっと早く知りたかった。こういう考え方に。
でも、知れてよかった。ありがたいです。
本書には、このほかにも解決方法があります。
ぜひ、皆さんも、手にとってみてください。
悩みと向き合って、自分の人生を楽しみましょう。
目次
第1章:人間関係の悩みをひも解く
第2章:恋愛の悩みを味わう
第3章:自分の性格の悩みと向き合う
第4章:お金の悩みに立ち向かう
第5章:生き方の悩みを原動力にする