【独学で合格】誰でもできる宅地建物取引士試験の勉強法

「国家資格に宅地建物取引士ってあるけど、難しいのかなぁ」
「宅地建物取引士って独学で受かるのかなぁ。実際どうなの?」
「うちの会社、宅建を取ると給料に資格手当がつくみたい。なるべくお金かけずに取りたいんだけど。」

そんな思いや悩みを抱えていませんか。

「宅地建物取引士」をネットで検索すると、”難しい”、”簡単”、”使えない”など、いろいろ出てきます。

宅地建物取引士の資格をどう使うかは、個人の自由です。

資格マニアの人は、取得することに喜びを感じるでしょうし、転職してキャリアアップを目指す人もいます。また、業務に必要な資格であるため取得を考える人もいます。
資格を取得する目的は、十人十色だと思います。

もし、資格を使わなかったとしても、学んだ知識は、あなたのかけがえのないものです。

外野のいろんな言葉に惑わされず、目標(宅建士合格)と目的(キャリアアップ、金融業界への転職、不動産業界での独立など)を定めて、合格するために何をしなければならないのかをしっかり考えていきましょう。

今回は、宅地建物取引士試験を独学で合格した私の経験をもとに、テキストや問題集をどう使ったのか、どういうテキストで勉強したのかを書いてみました。1人でも多くの人の参考になればと思っています。

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この記事を書いている私の紹介。
建築業界で電気設備設計10年。司法書士事務所の補助者として転職。再び転職して建築業界へ。
これまでの職務経験を活かして、令和2年度宅地建物取引士合格。
その他に1級電気施工管理技士、消防設備士、電気工事士を取得済。

宅地建物取引士の資格について

宅地建物取引士とは

宅地建物取引士は、毎年20万人を超える人が受験する人気のある資格です。
土地や建物の売買・交換・賃貸借などの不動産取引を行う当事者が安心・信頼できるよう適切なアドバイス、説明などを行ったりする、専門知識を持ったことを証する資格です。

宅地建物取引士の受験資格について

宅地建物取引士の受験資格に制限はなく、年齢・国籍・学歴・実務経験の有無など関係なく誰でも受験できます。
受験資格の制限がないことも、人気がある要因の一つです。

 宅地建物取引士の試験内容について

宅地建物取引士の試験は、4肢択一のマークシート問題となります。問題数は50問です。
試験科目は下記の4つになります。

  • 宅建業法:20問
  • 民法(権利関係):14問
  • 法令上の制限:8問
  • 税・その他:8問

受付、試験日について

  • 受験申込受付:毎年7月1日頃
  • 受験申込方法:インターネットまたは郵送
    ※申込方法により、受付終了日が異なります。写真の準備などが必要だったりするので、早めに準備し、申込が間に合わないことがないよう、早めに出すようにしましょう。
  • 受験票発送:9月下旬頃
  • 試験日:毎年10月の第3日曜日
  • 合格発表:11月下旬もしくは12月※詳細については、一般社団法人不動産適正取引推進機構のホームページを確認してください。

宅地建物取引士になるまでにかかる費用について

筆記試験に合格しただけでは、宅地建物取引士として業務を行うことはできません。
実務経験の有無、登録実務講習の要否などの要件を満たした後、都道府県知事への登録申請を経て取引士証が発行されます。取引士証を受けて初めて「宅地建物取引士」となります。

実際に不動産業に従事しない場合、登録申請をしない人も多いです。
筆記試験合格後、登録するまでに実務経験がなければ実務講習費用、登録申請費などがかかります。

宅地建物取引士に合格したのは一生有効なので、履歴書には「宅地建物取引士試験 合格」と記入できるので安心してください。

ちなみに、私は実務経験なしだったので、取引士証を受けるまでにかかった費用は次のようになります。

受験手数料:8,200円
実務講習:22,000円
登録申請費:37,000円
取引士証発行手数料:4,500円   計 71,700円
※その他の費用として、住民票や証明写真などがかかる場合があります。

試験の難易度について

宅地建物取引士の試験は、合格率15〜17%といわれています。
原則年に1回の試験ですが、直近3年では、新型コロナウィルスの感染症対策として年2回(10月・12月)に分けて試験が行われました。
12月の試験を除けば、平均17%の合格率と言えるでしょう。

しっかりと準備をして、合格を勝ち取りましょう。

受 験 年 度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
令和元年度220,79737,48117.0
令和2年度(10月試験)168,98929,72817.6
令和2年度(12月試験)35,2614,61013.1
令和3年度(10月試験)209,74937,57917.9
令和3年度(12月試験)24,9653,89215.6
令和4年度(10月試験)283,85638,52517.0
出典:不動産適正取引推進機構 「試験実施概況」

合格するために必要な点数について

宅地建物取引士の試験の合格は相対評価なので、毎年合格点が変動しますが、例年35点前後が合格ラインとなっています。
安心して合格するためには8割(40点)ほしいところ。模擬試験でも8割以上を出せるように取り組みましょう。

宅地建物取引士試験のテキスト・問題集の選び方

テキスト・問題集の選び方

独学で宅地建物取引士に合格するためには、教材選びが大切です。
テキストや問題集などの書籍でも、過去問に特化したものや、オリジナルで作成された問題集など、さまざまな本があります。
どれを選ぶか迷ってしまいますよね。

教材選びで一番大切なのは、自分の勉強スタイルに合ったテキスト、問題集を選ぶことです。

有名な書籍が無難ですが、購入する前に、インターネットでレビューを読んでみましょう。
可能であれば、近くの書店に訪れて、テキスト、問題集を実際に手にしてみましょう。

ちなみに、私がテキストを選ぶときの基準を紹介しますね。

『民法、不動産登記法などの試験問題の知識がゼロの場合』

  • なるべく薄いテキストを選ぶ(全体を早くつかむため)
  • マンガで解説されていても良い

『民法、不動産登記法などの試験問題の知識が少しはある場合』
【テキスト・参考書】

  • 図表、イラストなどがあり、見やすいかどうか
    ”蛍光マーカーが多すぎて目がちかちかしちゃう”とか”テキストが地味でテンションが上がらなさそう”とかの見た目を基準に選びます。
  • 持ち運びしやすいか
    勉強するうえで、常に持ち運ぶことを考えると最適なサイズがどれか。
    買ったテキストが分厚い場合には、本を科目ごとバラバラにして持ち運びます。

【問題集】

  • 見やすいかどうか。これはテキストの時と同じです。
    問題の解説が十分か、自分が分かりやすい表現がされているのか。
  • 問題集は1冊見ただけでは分かりません。適当に選んだ過去問の解説について比較してみます。どの問題集がどのように解説されているか、どれが分かりやすいかを見比べて判断します。
  • 持ち運びしやすいか。

本屋でたくさん見比べるので結構時間かかりますが、これから膨大な時間をともにする本なので、しっかりと選びたいところです。

合格したときに使用していたテキストと問題集

私が使って合格したテキストはコレ。
『スッキリわかる宅建士』

選んだポイントはココ!

  • 2色刷りで見やすい
  • 文章が読みやすい、図もあって分かりやすい
  • 科目ごとに切り離せるようになっているので、持ち運びが楽ちん

私が使って合格した問題集はコレ。
『スッキリとける宅建士 論点別12年過去問題集』

選んだポイントはココ!

  • テキストとセットなので、掲載されている項目の順番が同じで使いやすい
  • 過去問12年分と多い
  • 見やすい、読みやすい、分かりやすい(左ページに問題、右ページに解説タイプ)
  • テキストと同様、科目ごとに切り離せるようになっているので、持ち運びが楽ちん

もう1冊の問題集はコレ。
『みんなが欲しかった!宅建士の問題集』

選んだポイントはココ!

  • 厳選した問題が掲載されている
  • 見やすい、読みやすい、分かりやすい(左ページに問題、右ページに解説タイプ)

問題集はこの2冊を使うことでたくさんの論点にふれ、知らない問題、苦手問題をなるべく作らないようにしていました。
個人的な感想ですが、参考にしてみてください。

【体験談】宅地建物取引士試験の勉強法

宅地建物取引士の試験は、法律に関して理解する、覚えるべき知識が多くあります。独学で勉強する場合、計画的に勉強を進めることが大切です。

まずは、受験までの期間を把握し、勉強のスケジュールを立てましょう。自分のライフスタイルに合った勉強時間やペースを見つけ、無理のない計画を作ることが重要です。

また、理解度を深めるために、勉強した内容について、なるべく早めに問題集を解くことがおすすめです。外出先ではアプリを使ったりするなどのスキマ時間を有効に使いましょう。

人間は忘れていく生き物です。
エビングハウスの忘却曲線で示されているように、再度覚えなおすまでの時間が短いほど、すぐに思い出せます。
なるべく短い期間で何度も思い出し、記憶に定着させましょう。

私が実際にしていた勉強法

テキストをさらーっと読みます。(1周目)

分からない単語や何を言っているのか分からないときも流していきますが、ただ流すのではなく、大まかな意味をつかむようにします。
ただし、あまり時間を掛け過ぎないように。

例)仮換地という言葉をはじめて見たけど、意味が分からない
土地区画整理の章にあるってことは、その区画整理に関することなんだな。
     
えーっと、区画整理って、なんだったかな?
     
あー、街をきれいに区画するみたいなことやってる、あれか。
道路も広くなったり、まっすぐになったりしてるなあ。
     
仮換地って文字を見ると、仮に換える。どこかに置き換えるってことか?
     
もともと住んでいた家を公園にしたいから、どこかよそへ移ってねってことかな。

こんな感じで、イメージだけは最低限つかむようにして読んでいました。
間違っている、イメージと違ってた部分は、あとで必ず修正しないといけないですが、単に文字を流し読みするよりはいいかなと思っています。

せっかく時間を使うのに、何も考えず、テキストを1周する、ページをめくることが目的になっていては意味がありません。

テキストを最初から読み直す(2周目)

1周目よりも、もう少し赤字、太字などを注意して読んでいきます。

意識するのは、次の5つです。

  • 章のテーマ(何を勉強するのか?)
  • メインとするワードは何か?
  • そのワードの定義は何か?
  • メインのワードから関連する言葉は何か?
  • どういう繋がりがあるのかをしっかり理解する

テキストを読んで、問題集解く(1周目)

テキストを読みながら、その章ごとに問題集を解いていきます。
間違った問題にはチェックを入れ、テキストの見直しと、なぜ間違ったのか考えます。

  例えば、そもそも問題の意味がわからないのか、それもと、単に知識が不十分なのかなど。
  問題の意味が分からなかったのなら、言葉の定義をあいまいに覚えているのかもしれない。
  知識が不十分なら、覚えてることを深掘りして知識を増やしていくなど。

しっかりと見直していきましょう。

私は何度間違ったか知りたくて、間違った問題の横に正の字を書いてました。足りなかった知識は、"この問題の時にはココがポイント"ってテキストに書き足していました。自分なりの間違いポイントを書いていくことで、オリジナルテキストが仕上がっていきます。

また、勉強の前の肩鳴らしとして、前回した章(もしくは項)の問題を解いてから、次の章(もしくは項)に進んでいました。
そこで間違ったなら、前回しっかり覚えきれてない問題なので、さらに復習します。間違いポイントも確認します。

問題集を解く(2〜3周目)

問題集を最初から一気に解いていきます。前回間違えなかった点も含めて、全部解きます。間違っていたら正の字を書いてチェックしておきます。
最終的に問題集を2回、解いていきます。前回のテキストと併用していく方法を含めると3回。

間違った問題だけを解いていく

これまで3回問題集を解いてきたので、4回目は間違った問題(1個でも正の字が付いてる問題)だけ解いていきます。完全に覚えて間違わなくなったら、正の字に✖︎印をつけておきます。
全ての正の字に✖︎印がついたら全部完了です。

さらに上を目指すために、もう1ステップ!

※時間的に余裕があれば取り組みましょう。余裕がない場合、次の7に進みます。

違う出版社の問題集(過去問だけではない問題もある)が良いです。
これを、上記の4、5のように解いていきます。
問題集が変わると、少し違って見えます。
最初に買った問題集ではできたのに、間違ってしまう。
それを洗い出すために、別の問題集を買うわけです。

新しく買った問題集で、間違った部分は理解不十分な部分です。
もしかしたら、前の問題集を何度も解いていたので、無意識に答えを覚えてしまっていたところがあるかもしれません。

模擬試験を受けてみましょう

最後の仕上げに、公開してある過去問(出典:宅建試験の問題及び正解番号表)
もしくは、問題集に付属の模擬問題を解いて力試し!
間違えたところをチェックして、テキストを見直して、関連する過去問を解きます。

ここまでしっかりと出来たら、もう大丈夫です。

宅地建物取引士試験の受験のコツ

独学で宅地建物取引士に合格するためには、効率的な受験対策が不可欠です。以下は、受験対策のコツについてのアドバイスです。

スケジュールの確認

最初に計画したスケジュールどおりに進んでいるのかを定期的に確認します。進んでいないなら、何が問題なのか探ります。
勉強する時間が足りないなら、1日の過ごし方にムダがないか、少しでもスキマ時間が取れそうなとこはないか。誰かに協力してもらって時間を捻出できないかを考えます。

解答時間の配分を意識する

実際の試験では、制限時間内にすべての問題を解答する必要があります。どの分野にどれだけ時間配分するのか、どれだけ点数を獲得しなければならないのかを意識することが重要です。模擬試験などで、時間をはかって実践さながらで問題を解いてみることをおすすめします。

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宅地建物取引士試験の科目ごとの対策

宅地建物取引士試験に合格するためには、4つの科目の対策をとることも大事です。
宅地建物取引士の試験には各科目による足切り点はありません。
だからといって、出来ない、または苦手な科目を最初から捨てるのではなく、満遍なく学習しましょう。さらに、知識の深追いも厳禁。

知っておかなければいけない知識レベルは、過去問レベルです。
”実務ではこうだからなぁ"とかを考えなくて良いです。

【宅建業法】50問中20問出題

宅建業法とは、「宅地」または「建物」の取引を業としておこなう者を対象とする免許制度や取引を安全に行うためのルールなどを定めたものです。民法にも同じような定めはありますが、特別法である宅建業法の方が優先して適用されます。この試験において、メインとなる科目です。基本的なことが問われますので、しっかりと覚えて点数を稼ぎましょう。

「問われる問題」
  宅建業の免許
  媒介契約の規制
  重要事項説明
  37条書面
  クーリング・オフ
  自ら売主規制など

【権利関係】50問中14問出題

不動産取引にかかわる法律として、民法10問、借地借家法2問、不動産登記法1問、区分所有法1問が出題されます。
民法は苦手とする人が多いですが、条文の要件を押さえて、未成年者などの弱者保護の観点から解いていくのがポイントです。
過去問を暗記しても点数は伸びません。類似問題はあっても、無限にというほど問題が作れるからです。

難しい言葉も簡単な言葉で分かるように、イメージしやすいように覚えやすい言葉に言い換えておくと、勉強が進みますよ。
”最初からしっかりと覚えた方がいいんじゃない?”って思うかもしれませんが、イメージしやすい言葉の方がすーっと頭に入っていきます。
過去問題を解き続けていくと、最終的には専門用語もしっかり覚えていますので、心配無用です。
     例)心裡留保 → ウソ
        錯誤 → 勘違い  などイメージしやすい言葉で勉強する

【法令上の制限】50問中8問出題

自分の土地だからといって好き勝手に建物を建てて良いわけではありません。
周りの環境に配慮して建てなくてはいけません。
工業団地の中に土地を買っても、住宅は建てられません。危ないですし、生活環境としても良くないですよね。

どの地域ならどんな建物が建てられるかを法律で規制しているのです。

試験では、都市計画法、建築基準法、土地区画整理法、農地法などから問われます。

暗記が多いので、苦手としている人が多いですが、8問出題されるので最初から捨てずに少しずつ覚えていきましょう。

私は、覚えるために、絵や図表を書いてをひたすら繰り返してました。個人的にはイメージしづらい問題が多いので、1番苦手な科目でした。

【税・その他】50問中8問出題

「不動産取得税」、「固定資産税」など不動産に関する税などが問われます。
税金関係は難しいイメージですが、宅建士の試験では、基本的なことしか問われません。

何かを取得(手に入れた)したら、税金がかかる。誰から徴収されるのかをイメージすると覚えやすいかもしれません。

この科目は、しっかり学習して満点を狙いましょう。

まとめ

宅地建物取引士試験、合格のための勉強法、テキスト・問題集選びなどを紹介しました。
あくまでも私の経験によるものですが、きちんと取り組めば、独学でも合格できる試験です。
どんな資格試験でも同じですが、時間確保と労力、さらに合格するための強い意思も必要です。

自分に合った勉強法があるかとは思いますが、私の経験が少しでも参考になればと思います。

受験する気持ちと努力を持っていることを心から尊敬し、応援しています。

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