予想どおりに不合理



不合理性を理解することは人生の手助けとなる

本の概要

少し自分の人生を振り返ってほしい。

物事を決断したり、何かを買うときの判断など、自分でコントロールできているだろうか。

「人間の不合理性」。つまり、わたしたちがどれほど完璧とはほど遠いのか。

自分の人生をコントロールしてきたと胸を張っていえる人がいるなら、信じられないかもしれない。

しかし、著者であるダン・アリエリーが実験で導きだした結果をみると、わたしたちは、「予想どおりに不合理」な行動をとることがわかる。

不合理性を理解することは、毎日の行動と決断に役立ち、わたしたちを取りまく状況や、そこで示される選択肢がどのようにつくられているかを理解するうえでも重要になる。

不合理性はいつも同じように起こり、何度もくりかえされる。

予想どおりに不合理かを知ることは、より良い決断をしたり、生活を改善したりするための出発点となる。

相対性の真相

わたしたちは、身のまわりのものを常にほかのものとの関係でとらえている。そうせずにはいられないのだ。これは、物理的なもの ― トースターや、自転車、犬や、レストランの料理や、結婚相手 ― だけに言えることではない。休暇や、教育の選択肢といった経験にも、感情や態度、ものの見方のような形のないものにも言える。

相対性には絶えずわたしたちの足をすくう要素がひとつある。わたしたちはなんでも比べたがるが、それだけでなく、比べやすいものだけを一所懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある。

引用:「予想どおりに不合理」本文より

例えば、AとBという、ふたつの選択肢がある。

それぞれ違う特性をもっている場合には、どちらかを選ぶのがむずかしい。

ここにA’を加える。

A’は、Aとよく似ているため比べるのが簡単になる。

Aのほうが優れているなら、Aを選ぶ確率が高くなる。

さらに、比べるのがむずかしいと感じていたBよりも優れているような気さえしてくる。

先延ばしの問題と自制心

定年後のために貯蓄しようと誓いを立てるが、そのお金を旅行に使ってしまう。ダイエットしようと心に誓うが、デザートの誘惑に身をゆだねてしまう。目先の満足のために長期目標をあきらめること、それが先延ばしだ。

誘惑と戦い、自制心を少しずつ身につけていくのは人間の共通の目標であり、それを果たせずに繰り返し挫折するのは多くの苦悩の種になっている。

最善の策は、人々に望ましい行動の道筋をあらかじめ決意表明する機会を与えることではないかと思う。この方法は独断的な扱いほど効果的ではないかもしれないが、正しい方向に押しだす助けにはなる。

引用:「予想どおりに不合理」本文より

わたしたちにとって、先延ばしを自制するのは難しい。

遠い目標よりも目先の楽しみを重視してしまう。

「今年こそは毎日3時間以上勉強するぞ」と誓いを立てた矢先に、手元にあるスマートフォンで遊んでしまう。

自分の好きなものと、嫌いだけれど自分にとってよいものとを組み合わせる(太り気味の映画愛好家の場合、映画を楽しみながらランニングマシーンであるくことに鍵があるかもしれない。)ことで、欲望と成果を結び付けられるかもしれず、ひいては日々直面する自制の問題をいくらかは克服できるかもしれない。

引用:「予想どおりに不合理」本文より

自制心を克服する対策として、かなり弱い紹介だと感じるが、それほどに難しいものだということだと思う。

本を読んで得られること

わたしたちは、過去に成功した事や、うまくいかなかった事がたくさんある。

それは合理性のない行動をとったことによるものかもしれない。

だからといって、合理性のない行動を悲観する必要もない。

なぜなら、不合理性には規則性があり、予想することも出来る。

応用することもできるし、解決策もある。

不合理性を知ることは人生の手助けとなる。

書籍情報

【書籍名】予想どおりに不合理

【著者名】ダン・アリエリー

【出版社】ハヤカワ文庫

【頁 数】486ページ

【目 次】

   1章   相対性の真相

   2章   需要と供給の誤謬(ごびゅう)

   3章   ゼロコストのコスト

   4章   社会規範のコスト

   5章   無料のクッキーの力

   6章   性的興奮の影響

   7章   先延ばしの問題と自制心

   8章   高価な所有意識

   9章   扉をあけておく

   10章   予測の効果

   11章   価格の力

   12章   不信の輪

   13章   わたしたちの品性について その1

   14章   わたしたちの品性について その2

   15章   ビールと無料のランチ

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